「そうだよ」 ありえないことだった。後ろにいたのは子供。小学校三、四年生くらいだろうか。悪戯好きそうな湾曲した目は左右にせり上がり、口元を歪めておれを笑う。 「おれが見えるのか?」 「あたりまえじゃん」 子供ならではの無礼な態度におれは少しも腹を立てず、興味津々に追求する。 「どうしておれが見える?」 「どうして?」男の子は目を丸くして「ここに目があるから」と人差し指で自分の目を示す。 やはり子供に聞いたのは間違いだった。