「そうなのか?」
答えを催促する。
「うん。ビルの前で吸血鬼さんが血を舐めてたとき、ビルの上から飛び降りたことをなんとなく思い出した」
「自分で飛び降りたのか?」
「う……ん」
翔也の返事は煮え切らないし、頷いた首の動きもぎこちなかった。
「どうして?」と理由を訊く。
「テストの成績が悪くて、お父さんとお母さんをガッカリさせちゃったから」
翔也はうなだれる。
そんなことで?!まだ受験生じゃないだろうに……飛び降りと聞いて親からの虐待やクラスからのいじめを連想したが、衝動的に安易な行動に走ってしまったのだろうか?



