吸血鬼が幽霊になって何が悪い!



「君は遷延性意識障害といって植物人間になってしまった。もっとわかりやすく説明すると、大脳の機能をほぼ失い、自力で動くことができない状態になっている」


「ぼくは動けるよ」
男の子はぐるぐる腕を回し、サッカーボールを蹴るみたいに足も動かす。


「この世界のことじゃない。あそこを見なさい」
執行官が指をさした先はベッドに寝かされた半ズボンと白いハイソックスの子供がいる処置室。


「待て!」
おれは声を張り上げる。生身の自分の体が大変なことになっていることを知るのは子供には辛すぎる現実。


「心配ご無用。この子は薄々感づいている」
執行官は急に真面目な顔になり、翔也を見詰めた。