「そうしよう」
瞬時に動き、執行官に飛び掛ると長い爪を武器に目を狙うが、ドラム缶のような体についている首をゴムみたいに捻って、執行官はおれの突きをあっさりかわす。
「くそっ、くそっ……」
右、左と両手で突いても軽やかなバックステップと首振りで、執行官は余裕の笑みを絶やさない。
「ほい」と言って突然執行官は手に持っていた皮の手帳を頭上高く放り投げた。
一瞬、そっちに気をとられている隙に、執行官の頭突きがおれの顎にクリーンヒットして視界が真っ白になり、気づけば仰向けの状態で床に倒れていた。
「おじさん、大丈夫?」
翔也が心配しておれに駆け寄る。



