「いやぁ~すいません。まさか私の担当地区に吸血鬼さんが来るなんて思いもしなかったもので。すご~く光栄です」
執行官は失礼を詫びたが、顎を揺らしながら笑った。
「おれのことをどれくらい知ってるんだ?」
「かなり」
執行官は自信ありげに即答する。
「覚悟はできてるんだろうな」
「血でも吸うのか?」
今度はグフグフと喉の奥から息を漏らして笑う。
「まさかあんたの体にも血が流れてないのか?」
翔也という男の子の例からみても、血が通ってない可能性はありえる。
「試してみるか?」
執行官が挑発すように訊く。



