「脳機能処理判定執行官だ」 執行官とやらは笑顔でもう一度言うと、皮製で手のひらサイズの手帳をタキシードの内ポケットから取り出す。 「そのなんとか執行官さんが何の用だ?」 「そこの男の子の名前は……岸谷翔也君だね」 と執行官が言うと男の子は頷く。 「それとあなたは……かの有名な吸血鬼さんでいらっしゃいますね」 執行官は無理やり丁寧な言葉を使い、胸に手を当て感激している様子を表現するという過剰な演技でおれをおちょくる。 「ケンカ売ってるのか?」 馬鹿にされ、カチンときた。