吸血鬼が幽霊になって何が悪い!



やっぱりな……。


薄々わかっていたとはいえ、現実を見せられて少し落ち込む。


「なに、いまの?」後ろにぴったり付いてきていた男の子が恐怖していた。「おじさん、幽霊なの?」


「おまえもな」
おれがそう言ったとき、高校生らしき二人組みの女の子が男の子にぶつかる。


「あっ!!」
男の子が発した驚きの声。避ける暇なく、女の子達は男の子の体を抵抗感なく通り抜けていく。

「残念だったな」とだけ言い残しておれは去る。


嗅覚だけを頼りに、鉄が酸素と結びつく錆臭いニオイを追い求める。