間違いなく血のニオイはどこからかする。 犬が邪魔をしなければ無駄な時間を浪費することはなかった。子供の相手をすることもなかった。 路地裏を突き進み、モノクロの世界を歩く。 間もなくすると騒がしい音を耳が捉える。 もう少しで表通りか……。 そのとき小石が後ろから追い抜き、転がっていた金物のバケツに当たった。 振り向くと、さっきの男の子がつまらなそうな顔をして後を付いてきていた。 「なにか用か?」 冷たく声をかけると男の子は首を横に振る。