吸血鬼が幽霊になって何が悪い!



「ハロウィンを知らないの?」
男の子は目を丸くして訊き返してきた。


「ああ知らない」
とぼけて会話を断ち切る。


「十月三十一日に子供達が仮想して、近所の家におばけだぁ~と脅してお菓子をもらいに行くんだよ」
男の子がわざわざ説明をしたってことは、知らないことを見抜かれてしまった。とぼけたことを後悔した。


吸血鬼だとわかってもらえていないことも雰囲気で察知できた。


黒いマントを羽織り、トップが平らで深めのシルクハットを被るという古典的な吸血鬼の服装は、怖がらせるどころかコスプレをしているとしか目に映らないらしい。