「クゥ~ン」と媚びた鳴き声で、一匹のブサイクな犬がおれを上目使いで見ている。 「あぁ~おまえともここで会ったんだったな」 おれが屈むと、犬が近寄ってきて鼻を擦りつけてくる。 この犬、現実の世界では植物状態なのか? 動物病院を回ってみるか……。 「執行官はおまえからどうやって選択した答えを聞き出すんだろうな?」 話し相手に任命されて、初めての客の頭をおれは撫でてやる。 ところが、だ。 執行官が支配する世界は意地悪なようで、すぐに新たな客がくる。