翔也におれが見えているとは思えないが、なんらかの気配は感じたのかもしれない。 幽霊になった気分だ。 あてもなく街を歩いてみる。 血を吸いたいという欲求は薄れていた。 おれは生かされているのだろうか? いつか見た風景に遭遇した。 殺風景な裏通り……翔也と会った最初の場所。 どうしてこんな所を歩いているのか、自分でもおかしくて笑いそうになる。 ふと背後に気配を感じた。