「犬は人間より利口なのか?」 おれの質問に男の子は答えなかった。いや、答えられなかったのか? 「おれはおまえの忠告など受けない」 肘を曲げ、胸を張り、上半身を反らしてから投げる方向に体を押し出してやると、あとは自然と手から犬が放れていく計算。 「やめてぇ~!」 耳にキーンと響いてる不快な叫びで、おれの動きは止まった。 「なぜ止める?」 「可哀相じゃない」 男の子は泣きそうな声で懇願する。 「そうは見えない」 犬を改めて見て言った。 「信じられない」 男の子は呆れている。