「なに?」
「いーから、座れ」
「や、ちょ……っ!?」
強いけど柔らかい力で肩を押され、私は再び固い石段の上に座らされる。
なに、なに、なに。
トータの背後では、未だ綺麗な花火が大きな音と煩いくらいの光でその存在を主張してくるけど、今の私にはそれどころじゃない。
「どうしたの、なに、また嫌がらせするの?」
勢いよく暴れる心臓に影響されてか、声が震えた。噛みつくように刺々しい言葉を吐き出すけど、トータは怯まない。
それから私の目の前に跪いて、また私の傷ついた足にそっと触れた。
彼の行動が読めなくて、冷や汗を握った手は下駄を手放す。それは地面に落ちて、カタンと音を立てた。
トータの視線は一瞬だけそれを追ったけど、視線はすぐに私に戻って、顔がそらせなくなる。
「我慢してよ」
「え、あ、……の、なにを?」
「我慢しろよ?」
それは彼のお願いか、命令か。
痛みが襲うか、肌が熱を帯びるか。そのどちらかだと思って目をぎゅっとつむれば、予想外に足に重みを感じた。ずんとした、暖かい重み。

