――ドン





上から大きな物音がした。

防音設備はしっかりしてるはずのホテル――でもやっぱり田舎の安いラブホだから、こんなこともあるのか?


それとも上にいるやつらはよっぽど楽しんじゃってるのか……そんなことをぼんやり考えていたら、彼女が起きてしまったような気配がした。

身体を離しまいと、腕に力を込めたのだが――まさか、寝顔に見とれてたなんて言えるわけもなく、おれは急いで寝たふりをした。



ぴったりとくっついていた身体と身体にすき間ができて、一気にそこへ冷えた空気が流れ込んでくる。


それでもこらえきれないくらいにこみあげてくる微笑み――それはきっと、幸せな気持ちで満ち足りていたからだったんだと思う。