でも、うわ、超緊張してるし……。
薄目を開けていても、マイクを持つ彼の手プルプルとが震えているのが見えて、かなり緊張していることが見て取れる。
そういう彼を見ているうちに、あたしにも徐々に緊張が移ってきて、ごくりと喉が鳴った。
「石田さん、まず、びっくりさせてしまって、ごめんなさい。ここに来てくれたこと、すごく感謝しています。ありがとう」
両手でマイクを握りしめ、はぁーと大きく息を吐くと、いよいよ彼の告白がはじまった。
凛と通る声は、秋風にさらわれていく。
「おそらく石田さんは、俺に見覚えがないことと思います。学科も違うし、面と向かってしゃべったこともないし、こういう機会でもなければ、俺はきっと、ずっと石田さんに片想いをしたまま、卒業までの4年間を過ごしていくんじゃないかと思っていました。でも……」
そこで彼は言葉を区切る。
そして、ステージ上からあたしを見つけると、しっかりと目を見て、こう言うのだ。
「でも、好きだ!石田さんの全部が大好きだ!全然飾らないところも、いつもにこにこ笑っているところも、全部全部、可愛いんだ!」
「……、……」
「返事は今すぐじゃなくていい。友だちからでも、知り合いからでもいい。でも、どうか、俺を知ってほしい。よろしくお願いしますっ!!」


