まぁでも、そんな事はどうでもいいか。


「どうよ、外ハン?ヤれるか?」

「待てよ、今転がして来るから」


私を助手席に乗せてても、蒼季の意識はこの車を操ることに集中してるみたいだ。



「ここの葡萄畑の農道なら一本道だから、練習にはちょうどいい。もし、なんならクリスをつけるけど?」

開いた車の運転席側の窓に手をかけ、兄貴が蒼季と計器類を覗き見ている。


「……イタリアの計器類はアテになんねーからな。体で覚えるしかねぇか」

「……お前ならできんだろ。……ファントム」


ニヤリと二人で笑いあって、兄貴が窓から手を離した。


それを合図に、蒼季は初っぱなから全開でアクセルを踏んだ。




……その後の展開は予想通り。



何十回も蒼季が自分で満足するまで、アルファロメオで走り込んでくれましたよ!

……めっちゃ吐きそうなんですけど……。



夜更かしも手伝って胃がへたばった私は、翌朝のご飯が食べられませんでしたけどね!!!!