ショーが始まるまでには、まだ30分も時間があるんだけどね。



だって、回りのカップル達が幸せそうに腕を組んだり手を繋いだりしてるから。


だから、つい空気を掴んでいる自分の手が寂しく感じる。




人混みが一定方向に向かって流れていく。

きっとみんな、夜のショーを見るために移動しだしたんだな。


場所を取ってないから近くでは見ることができないけど、きっと遠目から見ても凄いのかな。




ベンチから立ち上がった蒼季が、私の腰をぐいっと引き寄せた。




そのまま歩いてショーの会場の入り口付近の、段差になっている場所に私を乗せる。



「ここだと、フィナーレの花火がよく見えるんだって」

「え?そうなの?」


そんなのガイドブックに載ってなかったよ?テーマパークが嫌いな蒼季なのに、よく知ってたなぁ。



「ここら辺が一番よく見えるんだってさ」

「よく知ってたね」


蒼季は視線を逸らして「……別に…ネットで調べただけだし」と呟く。


……わざわざそこまで調べてくれたんだ。

今日のレストランだって特別席だったし。


イタリアにまで着いてきてくれるって言ってくれた。