悔しくて号泣する時。



傷付いて、静かに涙を流す時。



こうやって小さい子供のように者繰り上げるように泣く時は、《欲しいモノ》を我慢させられた時だ。



……華音が《我慢してるモノ》…。



「……教えろよ。お前が何を我慢してんのか。それから、庵にいわれたことも」



不安があれば、できる限り取り除いてやるから。



「最近、……蒼季がずっと私を放置するから、飽きたのかなって…」

「さっき言った通り。飽きてねーし手離すつもりも、ねぇよ」

そんなに不安だったのか?馬鹿なやつ。そこが愛しいんだけど。可愛いんだけど。


「……彼女に飽きてきたら、車にかまけて放置して、二股かけるって……」


庵あの野郎そこまで言ったのか。


さすがホスト、オンナをオトすのに手段を選ばないとかやることがえげつねぇな。



「生憎お前と付き合いだしてから、そんな暇も無いぐらいに充実してんだけど。充足感ハンパねーし」


これ以上リア充ゴメンだし。つーか二股かけたら俺を刺すだろ、お前マジで。


「……浮気、してない?信じていい?」


返事を返す替わりに、いつもより甘いキスで返した。


うん、やっぱコイツじゃないと俺は駄目だ。



だが。



「……華音。お前は俺の浮気の心配なんかしてて、自分はどうなんだ?」


たった今気がついた、華音の鎖骨に咲く赤い花。



これどう見てもキスマークだよな?