姉さんが言った通り、華音を姉さんの友人って事で披露宴に出して正解だわこれ。



もし俺の彼女だとかがババア達にバレたら、次に聞かれる質問が頭に浮かぶ。どーせ『あら!蒼季ちゃん達はいつ?』とか『もしかして、デキちゃった?』とか、大方そんな感じだろ。ふざけんな、見せもんじゃねぇよ。





華音をほったらかしての挨拶回りが気が気じゃなかった披露宴は、ようやく恙無く終了した。




帰りのバスや車に乗って帰る人波を送り出すと、打ち掛けに着替えた姉さんと羽織袴の安藤さんが幸せそうに寄り添っていた。



……なんか、淋しい気もするけど、安藤さんなら俺の先輩だし、心配も問題もないよな。






式場内での用事が全て終了した俺は一抹の寂しさを胸にしまってその場を後にして、二次会の会場へと場所を移動しようと華音を探した。




が、どこを探しても華音がいない。


おっかしいな。あいつまさか年寄り組のバスの方に乗り込んだんじゃねーか?




親戚達の後を走って追いかけて、年が近い従兄弟の一人を掴まえた。



庵の妹の京歌(きょうか)、確か年は華音と同じだったはずだ。



「このバスの中に、外人みたいに金髪で青い目の娘、乗ってねぇ?」


大体あいつは警戒心は強いくせに、いつの間にかトラブルに巻き込まれてる厄介な運命の奴だしな。



華音のあの容姿だ。もしかしたら珍しがられて、今にもうちの親戚達に絡まれて無理矢理バスにでも乗せられたかも知んね。



気楽に構えすぎたのが祟ったのか、京歌から返ってきた答えには度肝を抜かれた。



「……え?あのキレイな女の子?庵がどっかに連れてったけど?」

「……は?」


なんで?