で、場所はいつものショッピングモール。


私が呻き声を上げているのは、書店内クッキングレシピ棚の前。



しまったあぁぁぁぁ!


蒼季のご両親の好き嫌いを聞くのを忘れてたー!


蒼季のご両親は食べ物、何が好きで何が嫌いなんだろう?



「……うー……」



何種類もの本が並ぶ棚から一冊を引き抜いてパラパラと捲った。うお!どれもハイレベルな料理ばっかりだ。


……やっぱ手料理は止めた方が無難なのかな…?


じゃあ、和菓子とかがいいかな……?



「何読んでんだ雲母。…『おふくろの味に負けない手料理』……タイトルからして既に涙ぐましいな、オイ」


いきなり湧いたこの声は!!


「うー!?」


宿敵その③に弱味を握られた!!!!


なんでこんな本を持ってんの、私!


「なんだ、櫻の親に挨拶か?俺が教えて……」「要りません」


即答。


当たり前じゃん、この人達が絡んで物事が上手くいった試しは…たまにあるけど。


でも、それ以上に迷惑かけられてる感しかないし?つーか邪魔ばっかりしてくるし?



「悩んでるなら、この本なんかどうだ?『彼ママに棄てられない手料理』」




気がついたら買い物袋を思いきり鷹嘴先生の後頭部に振り回し、そのままクリーンヒットさせていた。




……やべ。



この買い物袋、中にビール6本と醤油とペットボトル入ってたんだっけ。