「桜空は、幸せなんだよ。友人がいない日本に来て、君という男の子と付き合えて。君の事を話す時の桜空は、眩しいほどに輝いている。…毎日、君が病室に来てくれて、桜空は本当に嬉しそうにしているんだ。…ありがとう…っ」


やめろよ。碌でなしの俺に頭なんか下げるんじゃねぇよ。頼むよ、そんな言葉は要らないから、俺を責めてくれよ…!



「サラは、あなたノ事ばかり話すノ。私達モ、あなたに逢えて、本当に良かっタ」



桜空のおふくろさん、あんた日本人が嫌いなんだろ?なのになんで…俺の手を握って、そんな感謝の言葉を言うんだよ。



これじゃ、これじゃまるで…。




桜空の病室にいた医者が廊下にいた俺達3人を中に呼んだ。







なぁ、これになんの意味があるんだよ?




これじゃまるで、別れの挨拶みてーじゃねぇかよ。



笑えない冗談止めろって。




「樹貴君」



親父さんに促されるまま、フラフラと桜空のベッドに近づいた。




「…赤ちゃんト、一緒二…イル、カラ…心配…」

「心配すんに決まってんだろ?だから…!」

「アリ、…ガト。タツ…キ」




桜空の目から真珠のような涙が零れて落ちた。


キスでそれを拭い、指を絡めて力を込めた。





…行くな。まだ行くな。



まだ連れて行って無い所も見せたい所もたくさんあるんだ。








だから返って来い、桜空……!!