「…アンタここで何してんスか?」


警察の少年課に勤める岩崎サン。年齢不詳の通称『岩さん』だった。





この人も元々はゾク上がりの人で、今は更生して俺らのような奴等に温情をかけてくれている。警察だからそこんとこは補導とかすべきなんだろうが、岩さんは他の少年課の奴等とは違ってまず俺達の話を聞いてくれる数少ない大人の一人だ。



第一、お偉い議員先生の息子としての俺を見るのではなく、俺を一人の人間として見てくれているのが分かるから俺もこの人だけには嘘も駆け引きも必要ないと判断している。



「よぉ。お前がようやく浮かび上がってきたらしいって人づてに聞いたモンでな。その面拝みに来た」



そんな理由かよ。俺だってそんな茶飲み話に付き合うほど暇ではねぇよ。



なんて愚問だな。岩さんはこうしてドロップアウトした俺らみたいなヤツ一人一人を気にかけてくれている。俺もその中の一人なんだろう。