ネットゲーム編
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ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン……。

一定のリズムを刻み、電車が進む。

夕日を車内に取り込みながら、寂しげに進む。

走行音に満たされた車内は、静かに揺れている。

人の気配は少ない。長い一本通路の両側に廃れた茶色の座席が並ぶ。

夕日を浴びて茶色が変色しているように見える。

長い座席の中、ぽつんと二人の人間が座っている。

一人は出入り口のドアの側の座席に座る赤いスカートに白いブラウスを着た女子高生――佐々木春香。

もう一人は黒髪を垂らした三十代半ばの女性。

二人は黙って座っている。

二人は向かい合うように座っている。

春香は、赤い折りたたみ式の携帯電話と睨めっこしていた。

一方黒髪を垂らした女性はずっと俯いている。

春香は綺麗な黒髪を肩まで垂らし、顔は小さめで、整った鼻筋が特徴的だ。

背は低い方で、着ている制服がよく似合っている。

そんな彼女は今携帯電話と睨めっこしていた。

春香は目の前に座る気味の悪い女に目もくれず、ひたすら携帯電話をいじっていた。

メールをしているわけでも、サイト巡りをしているわけでもない。

ネットゲームというものに興じていた。