だから、あたしが代わりに……。





「香川」

いきなり名前を呼ばれて立ち上がった。


たしか、陸斗の友達で同じクラスの隆一くん……?




「陸斗の様子は?」

「まだ、意識が戻らない……」

「そうか……」

「……うん」

「………なぁ、香川…。お前……陸斗のところに戻ってきてやってくれよ。……頼むから!」


隆一くんに頭を下げられて、少し驚いた。


「ど…して?」


「陸斗が最低な事をやってたのは俺も知ってる。けど、お前に新しい彼氏ができてからはアイツ、精神的にフラフラになってた。すげぇ後悔してて、夜になると必ずヘコんだ内容のメールを俺に送ってきてたんだ。夜が不安になるらしくてさ」



夜に消えたお父さん。


夜が不安な陸斗。


陸斗と別れて、せつらと付き合ってた、あたし。



あたしが陸斗を、不安にさせた。





償わなければ、いけない。


………でも………。


「1日だけ、考えさせて……くれる?」



気持ちがゆれて、決まらない。



償うために陸斗と付き合うの?


また陸斗は浮気しない?


せつらのことは?



答えは分かっている。




でも、せめて1日だけは、考えさせて―――。