冬休みに入ってからは、あの男が睦月を迎えに来る光景を見なくて済むから正直ホッとした。

毎日毎日あんなもん見せられたら身が持たねぇよ。



だけど、俺が知らない所で睦月とアイツが会っているのかと想像して、また止むことのない嫉妬心に煽られる。



いつだったか睦月が友達の桜井と、泊まりに行く話で盛り上がってたっけ。


露天風呂がどうのヤったのがどうの。

アイツと一緒にどっか泊まりに行くらしいけど、もうそれ以上その話は聞きたくなくて、わざと悪態をついて邪魔をした。



いつも校門の前で車を停めて睦月を待ってるアイツ。

睦月はアイツとは、もうそういうコトをした仲なんだろうか?



それを考えたら悔しくてやるせない。


自分が想う相手の心の中に、自分がいないことの哀しさを改めて知った。




本当ならその哀しさを知っていたはずなのに、いつの間に俺は忘れてしまっていたんだろう。




だから、遊び相手だった女達は全部切り捨てた。



中には自棄になって「セフレでもいいから」なんて言う奴が何人かいたけど、俺はそんなのには目もくれなかった。





睦月じゃなきゃ駄目だ。


他に代わりなんていない。




もう手が届かないかも知れないけど、待てるのならば睦月が俺の元に戻るのをいつまでも待ちたい。

だけどできるもんなら、アイツから睦月を奪い返したいんだ。





学校でたまに睦月が一人でいるのを見かけて、そのままその体の全部を奪って自分のモノだと目茶苦茶に壊したくなった。



だけど、そんなんじゃ睦月の心は俺のモノにはならない。




睦月の心を手に入れないと、また睦月を傷つけるだけになっちまう。


もうそんなのは嫌だ。



一度は失ってしまった睦月の心を手に入れるには、俺は一体どうすればいいんだろう?







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