いつから彼は、大人になってしまったんだろう。 ネクタイを緩める仕草も、紫煙をくゆらしている時のどこか遠い目も、 嫌になるぐらい色気があって。 三つも年上の私が、その一挙一動にこんなにも心を乱されているなんて、 きっとあなたは知らない。 私に興味なんかないから、気付くはずもないのだけど。 初めて会った時、彼はまだ、あどけなさの残る高校生だった。