「…それ以外に、手帳は持っていませんか?捜査の時に記入したりとか…。」 私がそこまで言うと、長田さんは笑いながら、 『今はボイスレコーダーに頼りきりなんですよ。メモを取るのも必要ですよね。』 と、そう答えた…。 手帳を見れば思い出してもらえる。 その期待は、粉々に砕かれた…。 記憶どころか、人柄までも変えられてしまっている事に、私は絶望したんだ…。 だって…もう… 【黒い靄】を知る人は… 私しかいないのだから…