「………っ!!」
驚きと、嬉しさとで涙がでそうになる。
「めい。手かして?」
握らてた手は優しく、手のひらのうえに置かれた。
そして瞬は、ケースの中の指輪を取ると
それをあたしの薬指にはめる。
「今はまだ、こんなんしか買えないけど。いつかもうちょっといいの買ってやるから」
「………っ。これで…十分だよ…っ」
昨日、帰りが遅かったのはこれを買うためだったの?
瞬は、どんな顔してこれを買ったのかな?
「ばーか。すぐ泣くなよ?」
「ごめんなさっ…。嬉しくて…。幸せで…」
泣きじゃくるあたしの背中をさすってくれて。
指輪をはめた手は、またギュッと握られた。


