「千鶴と会わせてくれないか?」



「いやだ」


「無理言ってるのは分かってる。でも謝りたいんだ。千鶴に大変な思いをさせたこと…」


「……おろして」


素直におぶっている紗希を

大きな岩の上に座らせた。



「…頼む」


そうひとこと言って頭を下げた。



「あんた、自分がしたこと分かってるの?それなのにまだ会おうって言うの?」


「分かってる。取り返しのつかないことをした。でも俺は、あのときからずっと謝れてないんだ…。ずっと…傷つけたままで」


「…。どうしても?」


「どうしても謝りたい」



「….。あたしがそばにいていいなら、いいよ」



そう言ってくれた紗希に俺はもっと頭を下げて


「ありがとう!!」


と大きな声で言った。