「………」
「めい?」
名前を呼ばれてはっとする。
何か言わなくちゃ。
「うん。えっと…昨日紗希ちゃんの家にお泊まりさせてもらって…。で、千鶴さんも心配してくれたから…さ…」
「そか。帰ってきてんだ…」
…。
嫌だ。なんだか瞬が遠い。
「なんで…?知ってるの?」
精いっぱいしぼりだした声は
「んー。まぁいろいろ」
こうやって適当に返されてしまう。
せっかく、さっきまで近かったのに。
瞬の照れたときのクセはあたしだけのものだったのに。
千鶴と呼んだ瞬は
あたしの知らない人。とても遠い存在。
それでもあたしは瞬が好きなんだよ。


