いつの間にかあたしはそれに手を伸ばしていて、
ノズルをギュッと押して瞬の髪の香りがするシャンプーを手のひらにとっていた。
「…。何してんだ?あたし」
手のひらのシャンプーをみてつぶやく。
これで頭洗って、同じ匂いになったら近づけたりするかな。
なんて。
あるわけないか。
「ちょっとだけならばれないよね?」
そう自分に言い聞かせ、瞬のシャンプーで髪を洗った。
それだけのことに少しドキドキする。
勝手に人のを使って、
ちょっと悪いことをしたような感覚。
瞬にばれないようにしよう。
そう思いながらお風呂からあがった。