あれから5年の月日が流れていた。


あたしは大学を卒業し、奈生は本格的に絵描きの仕事を始めた。


そして、あたしたちは今もずっと一緒にいる。


車内にキッチンを設置した大きな移動販売車を購入。


それに乗って様々な場所へ行き、奈生は風景画を描き、あたしは車でケーキを売った。


車には奈生の絵を何枚もかざり、ポストカードの販売も同時に行った。


時奈生の絵を気に行くお客さんは徐々に増えていて、今では小さな個展を開くくらい知名度はあがってきていた。


「綺麗な絵だね」


立ち止まってケーキを買ってくれた男性客が、奈生の絵に目をとめた。