ろくに勉強なんて教えることもないまま、あたしは病院を後にしていた。


衝撃的な出会いすぎて、頭が着いていかない。


いきなり矢原に弟がいることがわかって、しかも心臓病でいつ亡くなるかもわからないなんて、あまりに唐突すぎる。


「ただいま」


グルグルと頭の中で奈生のことを考えていたため、いつも通りキッチンへ入ってしまい、ハッとした。


そうだ。


今日はあたしがバイトで帰ってきたから、叔母さんはもう1人で夕飯を食べちゃったんだ。