その日の夜、あたしは奈生に電話をかけた。


3コール目で奈生の少しけだるそうな声が聞こえてきた。


《もしもし?》


「もしもし、奈生? また病室内で電話出たの?」


《わりぃかよ》


「ちゃんと場所変えなきゃダメじゃん」


そう言うと、めんどくさそうなため息が聞こえてきた。


《こんな時間になんか用事?》


「まぁね……」