その日の夜、あたしはこっそり部屋を出た。


奈生に会いたい……。


昼間矢原に聞いた話が、何度も何度も思い出されていてもたってもいられなくなった。


音もたてず静かに階段を降りたはずだったけれど、そこには腕組みをした叔母さんが立っていた。


あたしは思わずハッと息を飲んで立ち止まる。


「どこ、行く気?」


「……結衣叔母さん、気づいてたの?」