好きになった人、愛した人。

後部座席に奈生を寝かせ、助手席に座った矢原。


そして、その車で事故が起きたのだ。


赤信号を無視して入ってきた自転車。


それを避けようとして、車は急ハンドルを切った。


ブレーキ音とタイヤの煙が交差点に充満する。


気が付けば車は操作を失い、信号機へと突進してようやく止まった。


それが原因で、矢原は足をやられたのだ。