好きになった人、愛した人。

それから、矢原はすぐに奈生のもとにかけよった。


周囲から、期待していた観客から何を言われても、なにも耳に入らなかった。


「奈生! 奈生、聞こえるか!?」


青ざめてうずくまる奈生を抱きかかえるようにして、歩き出す。


「車を出してくれ!」


救急車を呼ぶよりも、誰かに運転してもらう方が早いと踏んだ。


でも、これが矢原の人生を大きく変えることになったんだ。


グラウンドの関係者がすぐにかけつけ、車を出してくれた。