502号室の扉の前、あたしは立ち止まって辺りを見回した。


ここで、いいんだよね?


くしゃくしゃにしたメモをもう一度取り出して、確認する。


個人情報を守るためか、部屋のドアに名前は書かれていない。


部屋の識別のために部屋番号の他に、各部屋の折り紙が張り付けられているだけだった。


502号室はチューリップの折り紙。


あたしは心臓に手を当てて緊張を落ち着かせると、ようやくそのドアをノックした。


そして、すぐに聞こえてくる「どうぞ」と言う、男の声。