それは高校のサッカー試合での事だった。


その日は天気もよく、予定通り市民グラウンドで隣街のチームとの試合が始まった。


いつもと違う事と言えば、客席に弟の奈生がきているということ。



俺がサッカーをしていることから奈生もサッカーに興味を持ち、病院から外出許可が下りた時はこうして見学に出ることもあった。


真夏のグラウンド。


あまり外に出ない奈生が熱にやられないかと視線をやると、


奈生は「おーい!」と、大きな声で手を振ってきた。