病室に入るや否や「ボロボロじゃん」と、ベッドの上から奈生が言った。


「まぁね」


ひょいっと肩をすくめると、奈生が手招きをした。


いつもの椅子に座ると奈生の指があたしの髪に触れた。


その感覚に、キュッと胸が締め付けられて熱くなった。


「どうした?」


「寒中水泳してきた」


「バカ。そんなん誰が信用すんだよ」