好きになった人、愛した人。

そう思っていた時、突然部屋をノックする音が響いた。


ベッドの中でビクッと震えて、そっとドアの方を見る。


こんな時間に部屋をノックする人間なんて、この家では1人しかいない。


太一だ……。


あたしは気絶するほど殴られたあの時の事をリアルに思い出し、身震いをして頭まで布団をかぶった。


ドアには鍵をかけてある。


あたしが出なければ、大丈夫だ。


そう、自分に言い聞かせる。