カラオケ屋は、駅前の商店街通りにあるって聞き、私たちは、渓君と武司君の後を歩いていた。
前の二人には、気付かれないよーに。
私は、愛子にかず君の、さっきの出来事を話した。
結局、今日は、智美ちゃんとも話が出来なかった。
「綺麗に別れるなんて、無理なんだよ!」
「綺麗?」
「どんな別れ方しても、好きになった方が、負けなんじゃない?」
「どうして、同じクラスになっちゃったんだろう。」
愛子が先に歩いている、渓君達を見ながら。
「今はそんな事、考えない事!ほら、さき行っちゃうよ」
「ちょっと、待ってってばー!」
愛子は渓君達の方へ走って行った。
愛子の意地悪!
毎朝、学校からここまで来るのに心臓がドキドキで足も、ガクガクしてるのに…。
ましてや、カラオケの小さな部屋で…。
武司君との、距離もきっと凄い近いんだろうなっ。
そして、今朝のバスの中の出来事が頭から、離れない。
思わず掴んだ、武司君の腕。
遊びに行こうって言ってくれて、感謝してるんだけど。
まだ、心の準備ってものが、追い付かない!
だけど。
時間は待ってはくれない。
「美佐!」
愛子が大きく手招きする。
カラオケ部屋へ案内された私たち。
愛子と渓君は、先に入り、三つある長いソフィーに座った。
「やっと着いたね!」
二人共すっかりくつろいでる。
武司君は、トイレに行ってしまった。
奥に愛子、渓君、入口近くに私が座り、武司君が戻って来るのを待っていた。
「いい店!知ってるじゃん?」
愛子は、渓君と話してる。
「まぁね!こないだも、合コンしたんだよ。」
合コン?!
動揺している中、武司君が部屋に入って来た!
席はもちろん、私の隣しか空いてなくて。
武司君は、私の右隣りに腰を下ろした。
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