「やっべー忘れもん!」


渓が校門を出たとたん言った!

それがよかったのか?


悪かったのか?


「やめて!」


教室から女の子の声。


俺達はドアを開けちまった。
見なきゃよかった。


マジで思った!


美佐ちゃんが泣きながら、かずの腕の中から、振り払ってる姿を。


そして…


泣き顔を…。


俺より先に、言葉を発したのは渓だった!


「女!泣かすなー」


俺は何も言えなかった。


そして美佐ちゃんは、ものすごい勢いで、俺達の横を走って行った。


「追いかけるか?」


渓が言った。


そこまで彼女を慰めるだけの勇気がなかった。


「……好きなんだろ?」


「多分な?」


「なんだよ!答えになってねーし!」


「混乱してるよ!はまっちまったかね!」


「だな?」


俺の前に現れた女の子。


目と目が合ったあの日から、いろんな顔を見せた。


だからあんな泣き顔を、見たくなかった。


それも?


相手の男は元カレ。


そして俺達と同じクラスときたもんだ。


「あいつ…!未練たらたらだなぁ?」


渓は一人で、ブツブツと言ってたけど俺の中には、入ってこなかった。



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