〜千夏said〜



ータンタンタン



「先生ってば、人使い荒すぎ…」



1人で階段を降りながらため息をつく。



あたしは、日野 千夏(ヒノ チナツ)。



世間でいう地味子。



友達っていう友達は、小さい頃からの幼なじみが1人だけ。



人見知りが激しくて、あまりクラスメイトに話しかけることもない。



そんなあたしは、お決まりのように学級委員長を押し付けられたワケで…。



先生に呼び出されては、コキ使われる毎日を送っています。



今は分厚い本を4冊持っている状態。



図書室に返してきてほしいと頼まれたんだけど…。



「…先生。これは女子には重労働なのでは??」



とか、



「これくらい自分で返してください」



って、言えたらいいんだけどなぁ。



「それにしてもこの本、本当に重っ…」



ーずっ



そう呟いた瞬間、あたしは全身から血の気が引いていくのが分かった。



お、落ちる?!



「きゃあっ!!」



ーバサバサッ



持っていた本が派手な音を立てながら落ちていった。



…。



あれ?



落ちて、ない?



なんで?



目を開けてみる。