そうして、ケイスさんは帰って行った。
私は、謁見の間に一人。
さっきまで座っていたイスに、またストンと座る。
大理石で出来た、艶めく美しい床を見つめながら。
私の胸の中には、モヤっとした…くすぶるような気持ちが、胸を渦巻いていた。
初めて知った、国民の思い。
あんなにも…エルノを思っていたなんて……。
エルノが魔法のとき方を探していると、国民に言ってしまえば…もっと協力しあえたんじゃ……
と、ふと思ったものの。
「それは無理か……」
ポツリとつぶやきが口からこぼれた。
それは多分無理だろうな。
国民に言おうにも、エルノ自身もほとんど魔法のことを知らない状態だから。
じゃあエルノが知らない理由は……?
「……!おばあちゃん……」
そう。
魔法をかけた人物。
魔法をかけた理由。
魔法の内容。
おばあちゃんは、魔法のとき方以外は全て知っているとマグノアも言っていた。
そのおばあちゃんは、エルノに真実を全く教えなかった。
それはなぜか…?
「確か……『全てを知っていることが、幸せとは限らないから。』」
その理由が、エルノが真実を知らない理由。
それは、おばあちゃんも教えてくれなかった。
ここで、やっぱり疑問として残るのは……エルノのお父さんの謎。
エルノのお父さんには、何が起こったんだろう……?
それを知るのは、マグノアだけと言われている。
「……聞いてみるしかないかぁ…」
雪の国の魔法をとく可能性…。
それが私で、私に与えられた魔力を増大させる手鏡、遺伝子、そしてシーク。
あの少し、あと少しだけ分かれば……魔法をとくことが出来るのかもしれない。
そんな手応えを感じている。
あとは、マグノアと…エルノ次第かなぁ。
ふぅ…と、一息ついてイスから立ち上がる。
謁見の間を出ると、執事のおじいさんが私のことを待っていた。



