「…あ、あたし向こう
行きますね」



やっぱり無理!
話しかけるって言っても
これが精一杯だわ
この部屋から出よう


あたしはスクバを持って
速見成道がいないドアから出ようとした


「おい!」



ビクッ


びっくりしすぎて
立ち止まってしまった


あー!あたし
なんで立ち止まるかな
もー!



「…なに」



早くここから
出たいんだけど


「名前なに?」



は?名前?
名前なんて答える
必要なくない?



「松沢だけど…」


一応上だけおしえた。



「下は?」



下?下って別に
関係ないひとに
教えたくない


てか何こいつ
苦手すぎる、むり


「………」



あたしは速見成道が
苦手すぎて怖くて
黙りこくった



「…まぁいいや。俺は速見成道、成道って呼んでよ」



そういった速見成道は
昨日座ってた机に座って
あたしの方を見た



あたしはというと
固まったままフリーズ中



なんであたしが
速見成道のこと成道
なんて呼ばなきゃイケないの
意味がわかんない


関わりたくもない
人間関わってもろくなことないし
関わったらまたどうせ
裏切られて終わりなんだから



それに速見は怖い
あたしの偏見かもだけど



「お前、毎日ここ来て
なにしてんの?」



ちらっと速見を
見たら真剣な眼差しで
だけどどことなく悲しい
目をした速見がこっちを
見ていた


吸い込まれそう……
やっぱり苦手だ



「は、速見に関係ない」



そういってあたしは
すぐにその場から走って
逃げた



もうこの場にいるのに
限界だった