「ですが、「ごめん、今日はもう帰るね。ごちそうさま」
鞄を掴み、うつ向いたまま外へ出る。土砂降りの中、私は持ってきた傘を猫又くんの家に忘れた。
家を出る際、猫又くんの声が聞こえたような気がしたけど、それはきっと幻聴。幻聴に決まってる。
ぼろぼろ、ぼろぼろ
とめどなく溢れる涙。
「ふっ、う……うぅ……」
しゃがみこんで、うつ向いて。決して泣かまいと思ったのに。
隠れファンのいる猫又くん。そんな人と昨日話せたってだけで、秘密がもてたってだけで。
舞い上がって馬鹿みたい。
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