「今日は転入生を紹介します。」


先生が言った。
俺が通っている小学校は転入生が多い。
でも俺がいるクラス、4年2組は男しか転入生が来ない。


「じゃあ、入って。
自己紹介してね。」


だから、今回も超美人転入生とか期待してなかった。
それは俺だけじゃなく、皆一緒だ。
だって転入生って聞いても、ざわつくのは女子だけだし。

またどーせ男だろって皆が思ってた。
なのに…


ガラガラ…


反則だろ…。
不意討ち過ぎる。


「はじめまして。
今日からこの学校の生徒になります。」


教室に天使がいる…。
そう思った。
自己紹介をした転入生は、まさに天使って感じの女の子。
彼女を見た瞬間に暴れだす俺の心臓。


「………これからよろしくね。」


彼女の手慣れた自己紹介が終わった瞬間に盛り上がる男子。
皆目の色が変わってやがる。


「じゃあ、一番後ろに席用意してあるから、そこにすわってね。」


先生が言った。
俺の席は一番後ろにはみ出た席。
人数が半端だから。
そして、今日は俺の席の横にもう1つ机があった。

転入生が近づいて来る。
でも俺、ランドセルとか置いちゃってんだけど…。


「…ランドセル……。」


転入生が言った。
俺が荷物をのけねぇと、彼女は座れない。
俺は急いでランドセルとか、体操服の袋とかをのけた。


「わ、悪りぃ。」


俺が荷物をのけると、彼女は『ゴメンね。』と言ってから席に着いた。

彼女の声はすごく澄んでいて、俺は本当に天使みたいだと思った。