「何度も言わせるな。私は男が嫌いだ。弱い、ずる賢い、偉そう、何の力も持たぬ奴が威張る姿が私は見てて苛々する。」
「………そ、ッスか。」
「昨日もウチの道場の門下生が新入りを虐めていたんだ。対した成績も残さず弱い人道の癖に、何てザマだ。見ている私が恥ずかしい。我が道場の名に傷を付けるなど言語道断。それに―――」
ぶつぶつ呟く沙羅ちゃんの目は殺気籠っていた。まだまだ続く小言に俺は耳を塞ぐ。
彼女の男嫌いはトラウマから来るものでも何でもないだけマシだと思えば良いのか、これ殺されるだろ、と同情すれば良いのか、
…謎だ。

