俺はそのまま……
ずっと其処に居たいと思った。
でも現実は非情だ。
カーテン越しに、夜が明けてくるのが解る。
直に看護師による検温が始まるだろう。
俺は車椅子のブレーキを外してゆっくり動かし始めた。
「あ、喬君ちょっと待って。私看護師さんに頼んで、喬君と同じ時間にリハビリに行くようにしたいんだけど」
「えっ!?」
思いがけない言葉に俺は戸惑った。
嬉しいくせに、何て返事をしたら良いのかも解らずにいた。
「それともイヤ?」
俺が直ぐに返事をしなかったからなのか?
まことはちょっと拗ねたように言った。
「とんでもない」
俺は慌てて首を振った。
二人はリハビリルームで会うことを約束した。
もっとも、看護師に許可を貰うことが第一関門なんだけど、俺は浮かれていた。
ルンルン気分で引き戸を開ける。
頭だけ廊下に出して見ると、一番奥の部屋に看護師が入って行くのが見えた。
「検温が始まったよ」
俺はまことにそう声を掛けてから廊下に出た。
やっと潜り込んだベッドの上で看護師が検温に来る時間を待った。
でも、そんな場合に限ってゆっくりと時間は流れる。
今日何度目かの目覚まし時計を見た。
(あぁ早く来て……)
俺は看護師を待ちながらまこととのリハビリを妄想していた。
リハビリルームに二人で居たって別に何をする訳ではない。
理学療法士の立ち会いの元、様々な運動を試みるだけなのだ。
だから決して愛を育む時間何て無いんだ。
まことは幌の枠のアーチ型の棒で全身を強打した。
だから胸にはコルセットが巻かれている。
でも痛む箇所はそれだけではなかった。
まことは殆ど歩けなくなっていたのだった。
元々まことは身体が丈夫ではないらしい。
だから薬づけなのだ。
今まで、ありとあらゆる薬を試されと言う。
俺は不意に、母の言葉を思い出した。
『だけど教団が放すはずがないわ。だってあの子は教団の宝だから』
『宝?』
『そう、宝』
母はそう言いながらも暗い顔をしていた。
それがどんな意味を持つのか、母の真意が何処にあるのかさえも解らないが、まことにとっては辛いことなのだろうと思った。
ずっと其処に居たいと思った。
でも現実は非情だ。
カーテン越しに、夜が明けてくるのが解る。
直に看護師による検温が始まるだろう。
俺は車椅子のブレーキを外してゆっくり動かし始めた。
「あ、喬君ちょっと待って。私看護師さんに頼んで、喬君と同じ時間にリハビリに行くようにしたいんだけど」
「えっ!?」
思いがけない言葉に俺は戸惑った。
嬉しいくせに、何て返事をしたら良いのかも解らずにいた。
「それともイヤ?」
俺が直ぐに返事をしなかったからなのか?
まことはちょっと拗ねたように言った。
「とんでもない」
俺は慌てて首を振った。
二人はリハビリルームで会うことを約束した。
もっとも、看護師に許可を貰うことが第一関門なんだけど、俺は浮かれていた。
ルンルン気分で引き戸を開ける。
頭だけ廊下に出して見ると、一番奥の部屋に看護師が入って行くのが見えた。
「検温が始まったよ」
俺はまことにそう声を掛けてから廊下に出た。
やっと潜り込んだベッドの上で看護師が検温に来る時間を待った。
でも、そんな場合に限ってゆっくりと時間は流れる。
今日何度目かの目覚まし時計を見た。
(あぁ早く来て……)
俺は看護師を待ちながらまこととのリハビリを妄想していた。
リハビリルームに二人で居たって別に何をする訳ではない。
理学療法士の立ち会いの元、様々な運動を試みるだけなのだ。
だから決して愛を育む時間何て無いんだ。
まことは幌の枠のアーチ型の棒で全身を強打した。
だから胸にはコルセットが巻かれている。
でも痛む箇所はそれだけではなかった。
まことは殆ど歩けなくなっていたのだった。
元々まことは身体が丈夫ではないらしい。
だから薬づけなのだ。
今まで、ありとあらゆる薬を試されと言う。
俺は不意に、母の言葉を思い出した。
『だけど教団が放すはずがないわ。だってあの子は教団の宝だから』
『宝?』
『そう、宝』
母はそう言いながらも暗い顔をしていた。
それがどんな意味を持つのか、母の真意が何処にあるのかさえも解らないが、まことにとっては辛いことなのだろうと思った。


